わかってる。
こんなんで聞き入れてくれる人じゃない。

でも……



「まりやちゃんだけはやめて。何かするなら全部わたしにして」


「おれが条件を変えるとでも思ってんの」


「雪くんには悪いと思ってる。でもまりやちゃんは関係ない! まりやちゃんに危害を加えるんだったら、わたしは死ぬから!!」

「っ、は……?」



行き当たりばったりのセリフなんかじゃない。

周りから距離を置いて、距離を置かれて。

生きてる理由がどんどんわからなくなって。

心が壊れかけて。



「まりやちゃんが学校からいなくなったら、わたし生きてる意味ない、大事な友達だもん。雪くんがいるから大丈夫って思ってたけど……」



雪くんのことも、本当に大事な友達だった。

情緒不安定だけど、むしろホンモノの雪くんのほうが、“普通の男子高校生”っぽくて好きだった。


雪くんが心を開いてくれてること、束縛したがることだって嬉しくて、ぜんぜん嫌じゃなかった。