「なん、で……中城くんが……」


空き教室はみんなのもの。

放課後、まっさきに陣を取りに来る人がいても不思議じゃない。


中にいたのが別の人だったなら、たまたま場所が被っちゃったんだって、思えるのに……。


雪くんの側近である中城くんがここにいることは、間違っても偶然なんかじゃない。



「わたし、人と約束してるの。大事な話をしなきゃいけなくて、……ここで待ってないといけなくて、」

「神原まりや様なら、もう出て行かれました」

「………え?」


何言ってるかわかんない。



「出ていったって、まりやちゃん、もうここに来たってこと?」

「はい。“ 加藤様は急用ができたので、今日はここには来られなくなった” とお伝えして、帰っていただきました」


「へ? 待って、意味がわかんないよ。なんで中城くんがまりやちゃんにそんなこと言うの? ていうかっ、なんで約束のこと知ってるの?」

「自分の監視対象は、加藤様。それから神原まりや様だと、雪様より命を受けておりましたので」