とっさに余所を向いた。
一瞬でも視線が重なったことを、雪くんに知られたらまずい。
今、わたしの目には雪くんしか映ってないよと必死にアピールするついでに顔色を伺ってみたところ、
本領くんに返事こそしないものの、“人前用”の笑顔は保ててるみたいで、とりあえず安堵する。
……ただ、やっぱり心穏やかじゃないらしい。
わたしを掴む手に、ぎりっと力がこもったのがその証拠。
痛い、って声をあげることなんかもちろんできない。
次の瞬間、
「ちょっと来い」
耳元で低く囁いた雪くんは、教室とは反対方向へわたしを引っ張った。
「わっ雪様……! おはようございます!」
「うん、おはよ〜」
行く先々で声を掛けられる雪くん。
「あれ? 雪、もうすぐホームルーム始まるけど」
「あーっ……ごめん〜、遅れるって先生に言っといてくれない?」
「おう、了解」
「ありがとう〜助かる〜〜っ」



