.
.
予定通り、雪くんに、放課後は委員会があるから教室で待っててほしいと伝えた。
雪くんはわたしを一瞥して「わかった」とだけ返事をした。
欲を言えば、「先に帰っててほしい」なんだけど、そこまでいくと怪しまれるかもしれないと思って我慢した。
行きも帰りも、雪くん家の車で送り迎えしてもらうのが当たり前になってる。
その当たり前を少しでも崩すことは、雪くんを刺激することに繋がる。
──────キーンコーン、カーンコーン……
放課後のチャイムを待ちわびていたような、聞くのが怖かったような。
「きりーつ、例」
日直の号令のあと、ぎゅっと拳をにぎった。
「じゃあ雪くん、委員会に行ってくるね」
「……ああ」
あっさりとした返事。
ちゃんと雪くんの許可を得て、教室を出た。
少しの間だけど、自由の身。
もう大丈夫だ。
これでまりやちゃんと話せる……!