──────4限目。
始まる直前に、誰にも気づかれないようにしてまりやちゃんの机にメモを置いた。
ばくばく、心臓が破裂しそうになりながら。
雪くんはまだ職員室から戻ってない。
紙を置くところは、ぜったいに見られてないはず。
【 いっぱいごめんね。話したいことがあるから、放課後、2階の空き教室に来てもらえたらうれしいです。 杏実 】
雪くんには、放課後に委員会があるって伝えるつもり。
先生の都合で中止になったけど、もともと今日は本当に委員会の日で、雪くんもそれを把握してるはず。
緊張で胸が痛い。
自分の机にすわって、うつむいたまま始業のチャイムを聞いた。
職員室に呼ばれていた雪くんは、授業に少し遅れて中に入ってきた。
いつものようにわたしを見てから、席につく。
雪くんを騙すみたいで悪いけど、うまくいきますように……。