単純で馬鹿な女ばっか……。

こんなくだらない女のために自分の時間を割くことがどれだけ苦痛か。

おれのことを道具だとしか思ってない両親は知るはずもないだろうな。


杏実だけがいればいい。

世界に、杏実とおれだけでいい。

邪魔なものはぜんぶ消えればいい。


──────まりやとかいう、あの余計な女も。



入学式のときから杏実につきまとっていた。

おれに近づくのが目的じゃなく、純粋に杏実自身と仲良くなりたいという女は珍しいから

しばらくは目をつぶってやろうと思ってた……けど。



──『まりやちゃんと、お昼からの授業サボってカフェに行ったの……。それからカラオケ入って時間忘れて遊んじゃった、ごめんなさい』


チ、と舌打ちがでる。

あの女に、今までどれだけ杏実といる時間を奪われてきたかわからない。


夜まで遊びに連れ回すあげく、他の男も誘ったり、杏実に悪いことばっかり教えやがる。