「あと薬とかベッドとかも。何から何までほんとにあり───」


まだ言葉が終わらないうちに、腕を引かれた。

結局、最後まで言い切ることはできなかった。



だって……



「───んっ……」


優しく、唇を……塞がれたから。


触れていたのはほんの短い間だけ、だったと思う。

でもたしかな熱を残して、離れていくから、その瞬間が永遠にも思えて───。



「……………え?」


言葉を発するまでに、どれだけの時間がかかったかわからない。



見上げた先で、本領くんは笑っていた。


「最後の嫌がらせ」


今まで見た、どの笑顔とも違う。



「安心して。もう、かとーあみちゃんには関わんない。最初から、今日で終わらせるつもりだったんだ」



今にも、消えてしまいそうな



「ばいばい」


───ひどく儚い笑顔だった。