「……て、いうかさ。かとーあみちゃんも嘘ついてんじゃん」
ふいに、乾いた笑いが混ざった声で話しかけられた。
「え、嘘……?」
「一緒に風呂まで入る仲なんじゃん。初めて〜とか言ってたくせに。嘘つき」
「へ? 初めて……って、え? なんのこと……」
お風呂沸かすって言ってたのは、言葉のままの意味で。
今までも何度もこういうことがあったからで。
一緒に入るってわけじゃなくて……。
それよりも、初めてって……。
「わたし、そんなこと言った……っ?」
「そーだよね。その都合のいい頭じゃ覚えてるわけないか。可哀相だから黙っててあげようと思ってたけど……なあんかムカついてきた」
「……え?」
「思い出させてやろーか」
耳元で響いた声は、相変わらず重力があった。
呪いみたいにわたしをがんじがらめにするチカラ。