しっ、しまった!
ついいつもの癖で反射的に電話に出ちゃったけど、ここは車の中で、しかもわたしを送ってくれてる最中なのに……!
さっきまで本領くんの腕の中にいたはずが、今はあいだにもう一人座れるくらいのスペースがある。
「ごめんなさい、断りもなく電話にでちゃって」
「んーん、全然いいよ。彼氏からの電話だもんね」
さっきまでの笑顔はもうなかった。
当たり前だ。
今の本領くんの隣にいるわたしは、“かとーあみ“じゃなくて、“天沢 雪の彼女”として映ってるから……。
表情もそうだけど、声もなんだか冷ややかになった気がする。
さっきまで普通に話してたのが嘘みたい。
どういう感じで、どういうテンションで話してたんだっけ……。
もう、まともに本領くんの目も見ることができなかった。