「っえ、あ……。ごめんかとーあみちゃん。ふつーに冗談」
「………へ?」
「もう夜遅くなったから、あみちゃんの家に送ってるだけ」
「わたしのいえ……?」
「そう。言いにくいんだけど、天沢の彼女の家くらい、こっちは何年も前から把握済みなの。ごめんね」
本領くんの胸にうずめていた顔をゆっくりと上げる。
暗闇に目が慣れてきたみたいで、輪郭もはっきりわかるようになっていた。
「送ってくれてるの……?」
「うん。そうだよ」
「さっきのは、嘘ついたってこと……?」
「うん、嘘」
「ほんとに、ほんとの嘘……?」
「ほんとの嘘って、なんか意味分かんないけど、本当に嘘だよ。崖にも廃墟にも行かない」
よ、よかった……っ。
安心すると冷静になる。
目が慣れてきたこともあって、異性に軽々しく抱きついたことに今更ながら羞恥がめばえた。



