「拉致?」
「だって車でどこかに連れていかれてるんでしょ?」
「ん……そうかもね。天沢への見せしめで、こわーい場所に連れてってるのかも」
暗くて見えないはずなのに、本領くんが妖しく笑ったのがわかった。
「例えば、周りを海に囲まれて、強い潮風が吹き付ける断崖絶壁とか……」
「っ!」
「もう何年も使われてない、かつては病院だった深い森の中の廃墟とかに、置き去りにするのかも」
「ひっ、やあっ、やだ! ごめんなさい、何でもするから行きたくない……っ、お願い……!」
想像しただけで恐怖のあまり力が抜けていきそうで、すがるように抱きついてしまう。
涙もぼろぼろ流れた。
見られたくなくて、いっそう強くぎゅうっ……と腕に力をこめる。



