本領の人間は絶大な支持を受けているぶん、それ以上に恨まれていたりする。
ま……俺の家が悪業を営んでいることは事実だから仕方ないんだけど。
今までどれだけ、全く知りもしない相手から襲われ、汚い言葉を浴びせられたかなんて、もう忘れてしまった。
極悪人の息子。
人の血が流れていない。
本領 墨。
名前の通り、腹の中まで真っ黒な怪物。
……否定できないのが痛いところ。
本領家には長男の巴がいれば十分なのに、どうしても天沢家の長男と同級生の俺が注目されてしまう。
巴はそれをよく思っていなかった。
機嫌に関わらず、両親や見張りの人間が近くないないときに顔を合わせれば、問答無用で暴力を振るわれた。
巴の気が済むまで殴られ蹴られ水をかけられ、服で隠れた部分はいつだって傷だらけ。
首から下には、今も、巴からつけられた消えないアザがある。
特に気が触れてるときなんかは命に関わるくらいの重い仕事を押し付けられて、大怪我を負ったこともある。



