傷つけるどころか、甘い声に本能がとち狂って、いつの間にか目的を忘れていた。
優しくしたい、大事にしたい、もういいってくらいぐすぐずになるまで甘やかして……他に何も考えられなくなるまで愛したい。
頭の中が欲で埋め尽くされて止められなかった。
“ 手荒なのがいい、優しいのやだ……っ”
──こぼれる涙を見るまでは。
「本領も、好きな子としかしたくないとかあんの?」
「さあ……どうだろ、考えたこともなかった」
今までは女を黙らせるため、言うことを聞かせるための手段でしかなかったからな……。
「好きな人としかしちゃだめだとか立派な考えは持ってないけど、好きな子とだったら幸せだろうな……とは思う」
天沢と4年も付き合って、いまだに手付かずだった女。
あれだけ一緒にいるんだから、多少の恋人らしいスキンシップはあっただろうけど。
大事に守ってもらってたくせに、あっさり「もう好きにしていいよ」と言われて怒りが湧いた。
他人のことはうざいくらい心配するのに、なんで自分のことに関してはあんなに無関心なんだろう。



