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「38度7分、だってさ。ほら見える?」


体温計を差し出されて、こくりとうなずく。

わたしとしては馴染みのない数字。


せいぜい7度台だと思ってけど、そんなに高かったんだ……。



「付き添ってくれて、ほんとにありがとう……ございました」


お礼には応えずに、本領くんは静かにベッドに腰をおろした。



「あの……わたしが体調悪いの、なんで気づいたの……?」

「ずっと見てたしそのくらいわかる」

「っ、え……」

「敵の女が近くにいたら見るに決まってる。天沢の唯一の弱点はお前だからね」



“お前”……。

優しかったはずの声が急に冷たく聞こえた。



「言ったろ。ずっと前から目付けてた、って。俺、中学のときからお前のこと知ってるよ」



瞳が綺麗な弧を描く。

煽るような表情だった。



「呆れるほど危機感ないよね。天沢に大事に守られすぎて鈍ったんだろうけど……」