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「じゃあ、今からさーくんとカフェ行ってきまーす! 杏実も来る!?」

「えへへ遠慮しときます。楽しんできて〜」


まりやちゃんたちは昼休みが始まると同時に荷物をまとめて、楽しそうに教室を出ていった。


よし、隠し通せた……。


もし気づかれてふたりのデートに支障をきたしちゃったらどうしよう、
っていう不安からやっと開放された。

まりやちゃんは優しいから、体調悪いわたしをひとりにしないように「デートはまた今度」とか言いそうなんだもん。


気を張ってたぶん、ふたりがいなくなった途端、いっきに体から力が抜けてしまった。


ぐわーって感じのだるさ。食欲もない。


体の警報サインに従って机に突っ伏せば、なにかに呑み込まれるみたいに下へ下へと落ちていく感覚がした。