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「見られたら立場が危ういだろーし、裏門で降りな」


まあ俺は気にしないけどね、なんて言いながら、本領くんはひらりと手を振った。



「お気づかいどうも……」


立場が危うい。

……本当にそう、だ。


ワンテンポ遅れて、ぞくっと寒気がした。

遅刻しそうだったし、しかも相手が本領くんだったから、考える余裕なく勢いで送ってもらっちゃったけど。


もし、雪くんに知られたら……。



“ ──今度いいつけ守れなかったら
どうなるかわかるな? ……杏実 ”



思い出して、体が小さく震えた。