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「加藤様。お願いですから早くお体をお拭きになってください」



雪くんと入れ替わりにやってきた中城くんがバスタオルを差し出してくれた。

受け取ったのものの、頭がぼんやりしていてすぐには何もできなかった。



「風邪を引いてしまいます」

「……大丈夫だよ」


「自分が大丈夫ではありません。雪様の大切なお方ですから」

「……雪くん、今日、いつもよりヘンだった」



雪くんが出ていったあとずっと考えてたことを、言葉にしてみる。



「普段の怒った雪くんとは、またちょっと違う感じ。わたしが男の子と遊んでたこと以外にも、なんか、嫌なことが、あったのかな……って」



恐怖が先走っちゃって、ふたりのときはわからなかった、違和感。



「……ほんと、鈍いんだか鋭いんだか」



中城くんが何かを呟いた気がして、聞き返してみても。

返事はいつものごとく「いいえ」だけだった。