お見合い当日の日曜日。まさしくお見合い日和って感じで天気はとってもいい。
「汐梨、美容院の予約に間に合わなくなるわよ!」
「うんっ、今行く!」
今はまだ朝六時。私は、美容院のために久しぶりに早起きをして買ったドレスに着替える。
「ふぁ〜あ」
「大きなあくびね、昨日は眠れなかったの?」
「うん……ちょっと」
「まぁ、緊張しちゃうわよね」
「……うん」
そりゃあね、あの……桜橋黎くんだし。いろんな意味で、ね。
実際、一度チラッと見たことがあるだけなんだけど噂だけ聞いてるととても怖い印象だし……何より、入学式当日に先輩を殴っただとか言われている。
「お嬢様、奥様。美容院に着きましたよ」
「ありがとう、カシワギ。汐梨、行くわよ」
カシワギとはお母さんの専属運転手でお父さんより十以上は年上の七十才だったはず。
「カシワギさん、ありがとうございました」
私もお礼を言い、カシワギさんのエスコートによって車を降りると美容院に入った。
この美容院はお母さんがパーティーなどでヘアセットをしてもらうために使っているところで私も小さい頃にお邪魔したことがある。