「続いては二年一組、演劇の部「苺姫」です」



幕が上がってすぐ、王子様に会いに行こうとするお姫様を引き止めるシーンから始まる。



咲もそのお友達A役で、一番セリフが多い。名前が付いていないのが不思議なくらいの人物。



そこまで体が丈夫じゃない咲だけれど、「今日くらいあの人の目に映りたい!」と張り切っていた。



...おお、見てる見てる。ちゃんと見てもらえてるよ、咲!



スポットライトが他の人に当たっている隙をついて、体育館中を見渡した。



好きな人はすぐに見つけられるって聞いたけど、さすがにちょっと難易度高いな...



ううん、きっと観てくれてる!



「王子様は冷たくなんてないわ!...確かに多方面から好かれるような人では無いし、口もびっくりするほど悪い」


「そうよ、他の国にも王子はいる。とっても心配なの、貴方のことが」



王子様のいるお城に近づく度に引き止められるお姫様。