この嘘に、ピリオドを

「すごく綺麗ですね」

総司に声をかけられ、「えっ?」と心春は聞き返す。ボウッとしていて何を話しかけられたのかわからない。だが、「そうですね」と力なく返しておいた。

美しい挙式場や披露宴会場も見学した。父と母はここで娘が式を挙げることに盛り上がり、凝った内装についてスタッフと話している。だが、心春の心には結婚するという喜びは一切ない。

「ここなら、素敵な結婚式が挙げられそうですね」

「……そうですね」

心に微塵も思っていない返事を口にし、心春は窓の外の景色に目を向ける。ガラスに反射した総司の顔から笑顔が消えていた。

遠くで、父と母の楽しそうな声が響いていた。



結婚式場が決まった後、心春は両親に「総司くんときちんと話すように」と口酸っぱく言われた。今度もしも話をしていないと言われてしまえば、両親に何をされるのかわからない。そのため、心春は総司が話しかけられた時には口を開き、食事も一緒に少ないながらも取るようになった。