この嘘に、ピリオドを

「えっ、これって……」

「いい式場は早めに予約しておかなきゃでしょ?」

戸惑った様子の総司に母はウインクをしながら微笑む。母がかばんから取り出したのは結婚式場などの情報がまとめられた雑誌だった。綺麗なウェディングドレス姿の女性が表紙のその雑誌を見て、何が何でも式を挙げさせる気なのかと心春はため息を吐きたくなる。

(結局、私の気持ちなんてどうでもいいのね)

声には出さないものの、口元は自然と動いてしまった。誰にも気付かれることはなかったが。

「まあ、ゆっくり二人で話し合って式場は決めてくれ」

「わ、わかりました」

総司が返事をすると父は満足そうに笑い、母を連れて部屋を出て行く。両親は何も心春に言わなかったし、心春も両親を見送ることはなかった。三人の足音が遠ざかって行く中、心春はキャリーケースを開けて服を出し始める。

「心春さん、服はこのクローゼットに入れてください」

玄関から戻ってきた総司に声をかけられ、「わかりました」とだけ答える。クローゼットに服を入れていると、再び総司から声をかけられた。