ようやくお見合いが終わった。料亭の前まで互いの両親は話しながら移動し、心春は黙ったまま歩く。
「今日はありがとうございました」
総司がニコリと笑いながら言う。視線が絡み合い、咄嗟に心春は目を逸らしてしまった。そして「……こちらこそ、ありがとうございました」と心にも思っていないことを淡々と話す。
「こんな娘だが、前向きに考えてくれると嬉しいよ」
父が総司にそう話しかけているが、どうせ結婚をさせられるのは目に見えている。心春は「馬鹿みたい」と心の中で思いながら、父と母と共に駐車場へと向かう。
「どうしてあなたは一度も笑わないの?」
「そうだぞ、総司くんに失礼じゃないか」
歩いている途中で両親に言われるも、心春は何も言わなかった。もう終わったことなのだ。それに、心春には無理矢理結婚をさせられる相手と仲良くするという気持ちは微塵もなかった。
(私が好きなのは、あの人じゃなくジョンさんよ)



