そっと、抱きしめたい。



電車から下りてすぐ、オレはスマートフォンを耳にあてた。



コール音二回で、渚が電話に出てくれる。



『秀ちゃん、今、駅?』

「うん。ごめん、遅くなって」

『いいよ、大丈夫。ハンバーグは温め直せるし!多少固くなっていても、我慢して食べてね』



渚が電話の向こうで笑う。



「ハンバーグ、楽しみ。たとえ固くても、楽しみだよ」



だって渚がオレのために作ってくれたんだから。



『そんなにハンバーグが好きだったとは、知らなかった』



……そういうことじゃないけど。


天然な返事に、また顔が緩む。



「今日はどうだった?」

『仕事?うーん、まぁまぁかな?秀ちゃんに昨日、全部ぜんぶ聞いてもらえたから、もういっか!ってなったよ』

「うん」

『秀ちゃんは?』

「オレ?仕事が増えたよ、急に言われてビックリしたけど、まぁ、頑張りたいかな」



渚は『そっかぁ』と呟いて、
『じゃあ、体壊さないようにしなきゃだね』
と、言ってくれた。

優しい声で。