そっと、抱きしめたい。


腕時計を見る。

すでに二十時半を過ぎている。



「やっば!」



オレはスマートフォンを取り出す。



渚からのメッセージと、着信があった。



《秀ちゃん、どうしたの?大丈夫?連絡ください》



オレは慌ててメッセージの返事を打つ。



《ごめん!急な仕事だった!!これから帰るから、待ってて!!電車から降りたら絶対に電話する!!》



ついでにスマートフォンの画面上部を見て、もう一度時間を確認する。

もう少ししたら電車が来る時間。

オレは小走りで駅に向かう。



電車にはギリギリ間に合ったけれど、気持ちは焦る。

渚に早く会いたい。



ヴヴヴ。


渚からのメッセージが来た。



《秀ちゃん、『!』マークばっかり。ちょっと可笑しくて笑った。ちゃんと待ってるから、焦らずに気をつけて帰って来てね》



文面から渚の笑顔が見えた気がして、オレはそれまで以上に早く帰りたくなった。