12月25日の誕生花はヒイラギ。


だけどクリスマスの飾りに使われるヒイラギはセイヨウヒイラギというヒイラギで、またの名をホーリークリスマスと呼ばれるもので似て非なるものらしい。

でもどっちも同じことを意味してるよね。てゆーかむしろどっちの意味も含んでる。


琴ちゃん先生の誕生日って意味で。


「小夜先輩、紅茶飲みますか?俺のおすすめなんで!」

「笹原くんありがとう、すごくいい香りしてる」

「メリーも飲むっしょ!?」

「うん、…ありがと」

本日の部活動、そらぴょん大好物のフィナンシェを食しながらそらぴょんおすすめの紅茶を頂く。なんてゆーかただのお茶会。

「わ、香りもいいけど味もなめらかでおいしい!」

「ですよねですよね!めっちゃこのフィナンシェと合うんですよ!」

「ここのフィナンシェおいしいよね、私も大ファンになっちゃった」

「マジすか!また買ってきます!」

いや、カップルのデートに空気読めず来ちゃったって感じ?

もそもそともらったフィナンシェを食べながら淹れてもらった紅茶で流し込んだ。

「やっぱ~、焼き菓子には紅茶ですよね!牛乳もありですけどね、牛乳は案外なんでもイケますよねっ!」

調理実習台から身を乗り出して話すそらぴょんは楽しそう。それにニコニコしながら森中部長が聞いている。

いい空間なんだけどな、ここに…

小鳩がいたらもっと。

あっというまに飲み干してしまって空になったティーカップの底をじーっと見つめていた。

「柳澤ちゃん」

「あ、はいっ」

「しばらくチョコ研としては大きな活動はないんだけど、冬休みが終わったら一大イベントがあるの」

両手でティーカップを持って、にこっと微笑んで私とそらぴょんを見た。
そのあと少し、残念そうな顔をした。

「小鳩くんがいたらよかったんだけどね」

ごくんとひとくち紅茶を飲んだ。

「去年はね、もう少し人がいたんだよ。みんな先輩だったから卒業しちゃったけど…」

“あの人、お菓子作れませんからね。でも好きなんですって、この場所が”

「だから小鳩くんが入ってくれて嬉しかったし、柳澤ちゃんと笹原くんが入ってくれて…チョコ研続けられて本当によかった」

チョコ研に入った理由も、存続させたい理由も、それぞれあって。

そう話す森中部長からはほんわかした空気が流れて、チョコ研への愛を感じた。

小鳩もきっとそれを感じてたと思う。

あの時の小鳩は優しい空気を纏っていたから。


小鳩も好きだったんじゃないの?

チョコ研が。


私と違っていつも熱心だったじゃん。