探偵少女

 予想とは異なる返答に、鷹宮は間抜けな声を返す。


「記事には、鷹宮肇は盗撮が趣味で、それを仕事とするために、出版社に就職。そして、撮ることを優先したが故に、まともな取材をせずに記事を書いたってある」
「違う、それはデマだ」


 鷹宮は言って、ようやく自分がしたことを理解した。


 自分の愚かさに、声も出ない。


「松島先輩が、お前と連絡が取れないってめちゃくちゃ怒ってるぞ」


 その理由に心当たりがあるが、正直に言うか、迷った。


「……俺、もう会社辞めたんだけど」
「はあ?」


 坂本の呆れた声に、鷹宮は過剰反応をする。


 ただでさえ地に落ちた信用がさらになくなってしまったような気がして、恐怖しかなかった。


「肇がそこまでバカだとは思わなかったよ。お前、辞表は出したのか? 引き継ぎは? これだけ迷惑かけといて、辞めるの一言で縁が切れると、本気で思ってるのか?」


 その正論に耐えるほどのメンタルは、もう残っていなかった。


「鷹宮」


 追い討ちをかけるように、電話の向こうから松島の声がした。


 もう、鷹宮は生きた心地がしなかった。


「一度、社に戻れ。話はそれからだ」
「……わかりました」


 そして鷹宮は、世間の目から隠れるように、道の端を歩き進めた。