まだ質問が続くと思っていたから、晴真は少し驚く。


 引き留めようとしたが、そうしたところで話すこともなく、晴真も通話を終わらせる方向に進めようとした。


「朝原くん、まだ電話繋がってる?」


 すると、慌てた様子で夢里が控え室に戻ってきた。


 夢里は晴真が戸惑いながらも頷くところを見ると、画面の前に来る。


 その表情は真剣に見え、知由は文句を飲んだ。


「知由、大変なことになってる」


 理由を聞こうとしたとき、知由のスマホに友奈からメッセージが届いた。


『三崎と朝原晴真のネット記事が炎上中』


「……は?」


 通知で内容を確認し、それは思わずこぼれた声だった。


「大変なことって、記事のこと?」


 夢里は小さく頷く。


 仕事用のスマホを見ながら、話を進める。


「記事には、朝原くんが交際を否定しなかったって書いてある。さっき知由が現場に来てたところを写真も載ってるから、これが決め手になったのかも」
「滋に頼んだのに……」


 知由は文句をこぼしながら、パソコンを操作していく。


 記事は、探すまでもなかった。


“鷹宮肇”


 その記事の最後には、名があった。


「知由、どうするの?」


 夢里に尋ねられ、知由は一つの作戦を告げた。