知由は聞きたくないと言わんばかりに耳を塞ぐが、友奈は容赦なく言葉責めしていく。


「完璧に解決しないと、依頼が来なくなるかもね?」


 そのまま、知由は額を机に付けた。


 友奈の攻撃力の高さに、滋はただ感心している。


「友奈ちゃん、言うね」
「三崎に気を使っていたら、こっちがやられるだけなので」


 同意の意を込めて微笑む。


「二人、案外いいコンビにな」
「絶対」
「ありえない」


 しっかりと遮ってきた上に、息の揃った否定の仕方に、滋は驚きながらも笑っている。


 それどころか、睨み合いまで始めているところを見て、『どう見たって仲良しじゃん』と思った。


 そのとき、滋のスマホにメッセージが届いた音がした。


「ごめん、僕、そろそろ帰らないと。夏芽が一人で凛乃の世話してるんだ」


 帰りを催促するメッセージだった。


 知由は不貞腐れている場合ではないと、立ち上がる。


「滋、今日はありがとう」


 滋は知由の頭に手を置く。


「元気な様子が見れて安心したよ。次は家においで」
「私も行きたいです。凛乃ちゃんに会ってみたい」


 友奈がすかさず言う。


「待ってるね」


 そして、滋は部屋を出ていった。