探偵少女

「でもきっと、悪気があったわけじゃないと思う」


 蒼空がどれだけ知由を好いているか知っているから、つい庇うようなことを言ってしまった。


 知由の怒りの矛先が、友奈に向く。


「悪気がなければ、なにをしてもいいのか? 蒼空は高校を卒業している。この程度のことが予測できないほうがおかしいだろう」


 正論は、簡単に友奈を黙らせた。


 ただでさえ重たかった空気が、さらに重くなっていく。


 苦しい沈黙の中で、友奈は若干後悔していた。


 いつもの知由を望んだが、ここまで回復してほしいとは思っていなかった。


 知由の言葉を完全に一人で受け止めるのは、かなり心が折れる。


 しかし負けを認めるのはプライドが許さない。


 深呼吸をし、再び知由と向き合う。


「……三崎の名前を出したのは蒼空さんってことは、写真を撮った人と、恋人だと騒ぎ出した人が、ほかにいるってこと?」
「今朝、そう言った。まあ、騒ぎを大きくした奴らは、ただ騒ぎたかっただけだろうから、そこと敵対しようとしてもこっちが疲れるだけ」


 長い沈黙の間に、知由も落ち着いたらしい。


 昔の口調が消えつつある。


 そこまで気合を入れる必要がなかったとわかると、友奈も少しだけリラックスすることができた。