撮影が終わったころには、日が傾き始めていた。
晴真が帰り支度を終えるのを待っていると、蒼空が欠伸をひとつする。
「俳優って大変なんですね。僕、もっと楽しいものだと思ってました」
「町田さん、ずっと力仕事だったから、余計疲れたんじゃないですか?」
蒼空の隣に立つ立花が聞く。
「僕は頭を使って動くより、ああいう力仕事のほうが向いているので、それは全然苦じゃなかったです」
満足そうに言うところを見ると、それは本心のようだ。
「探偵の助手なのに?」
晴真は嫌味のように、小声で言う。
地獄耳なのか、蒼空はしっかりと聞き取って、晴真を睨む。
設定を忘れた発言と、まるで役立たずのような言い草が気に入らなかった。
「思考面で彼女のサポートをできる人なんて、そうそういないんです」
蒼空は言いながら、今朝の知由からのメッセージを思い出した。
「そういえば……」
話しかけようとしたときに晴真がドアを開け、蒼空は人が集まっていることに気付き、言葉を飲み込む。
「朝原さん、今ネットで話題の女性とは、本当にお付き合いされているんですか?」
僅かな隙間からカメラとボイスレコーダーが向けられる。
ドアを閉めることなんて、できなかった。
晴真が帰り支度を終えるのを待っていると、蒼空が欠伸をひとつする。
「俳優って大変なんですね。僕、もっと楽しいものだと思ってました」
「町田さん、ずっと力仕事だったから、余計疲れたんじゃないですか?」
蒼空の隣に立つ立花が聞く。
「僕は頭を使って動くより、ああいう力仕事のほうが向いているので、それは全然苦じゃなかったです」
満足そうに言うところを見ると、それは本心のようだ。
「探偵の助手なのに?」
晴真は嫌味のように、小声で言う。
地獄耳なのか、蒼空はしっかりと聞き取って、晴真を睨む。
設定を忘れた発言と、まるで役立たずのような言い草が気に入らなかった。
「思考面で彼女のサポートをできる人なんて、そうそういないんです」
蒼空は言いながら、今朝の知由からのメッセージを思い出した。
「そういえば……」
話しかけようとしたときに晴真がドアを開け、蒼空は人が集まっていることに気付き、言葉を飲み込む。
「朝原さん、今ネットで話題の女性とは、本当にお付き合いされているんですか?」
僅かな隙間からカメラとボイスレコーダーが向けられる。
ドアを閉めることなんて、できなかった。