探偵少女

 そのとき、スタッフルームのドアが開いた。


 黒いフードを深く被った知由が出てくる。


「……みさきちゃん」


 滋は躊躇いながら、知由を呼ぶ。


 足元しか見ていなかった知由の視線が、少しだけ上がる。


「滋……なんで……」
「ゆっきーに呼ばれて。みさきちゃん、珍しく大丈夫じゃなさそうだね」


 知由のフードは大きく、簡単に知由の目を隠した。


 そして知由は、なにもせずにスタッフルームに戻っていった。


 重たい空気の中で、滋は言葉を間違えたのかもしれないと思う。


「えーっと……そうだ、ゆっきー、なんで僕を呼んだの?」
「今のちぃちゃんには、滋くんの力が必要だと思ったので」


 雪兎はコップに水を注ぎ、滋に渡す。


「マスコミは今、ちぃちゃんの脅しによって、派手な行動はしていません。ですが、プライド、でしょうか……ネットで朝原さんの熱愛騒動が起きたことで、次のネタは絶対に撮る、という意識が芽生えたようなんです」


 雪兎の始めた話に若干ついていけず、生返事をするしかない。


「今、ちぃちゃんは影から狙われている状態で、身動きが取れないんです」
「それはまた、みさきちゃんらしくないね」


 相手の上を行くのが、三崎知由のやり方。