探偵少女

『偉そう』
『絶対に性格ブス』
『見た目がいいから、いい気になってる』
『晴真くんを騙した最低女』


「きっつ……」


 肯定的なコメントばかりなわけがないとは思っていたが、中には殺意をほのめかすような言葉もあり、友奈はすぐさまアプリを落とす。


 自分が知由の立場だったらと考えてしまい、背筋が凍る。


 この程度で潰れてしまうような人ではないと思っても、さすがに、知由のことが心配になる。


「大丈夫よね、三崎……」


 友奈の独り言は、曇り空へと消えていった。





 櫻井滋は周りの目を気にしながら、裏口のドアを開ける。


 中に入り、大きく息を吐く。


「あ、滋くん……」


 厨房には、雪兎一人だ。


 その表情は疲れきっていて、昼休み中に呼び出されたことに対して、文句を言える雰囲気ではない。


「ゆっきー、久しぶりだね」


 滋は笑顔を返せず、静かに言うと、周囲を見渡す。


「みさきちゃんは?」


 少し目を逸らした、暗い瞳を見て、滋は息を呑む。


 今起きている騒ぎは、少しは見てきた。


 ネットだけではない。


 街の騒ぎだって見た。


「ねえ、ゆっきー……みさきちゃん、元気?」


 様子を伺うように聞くが、雪兎は答えない。