探偵少女

 その独り言は、立花にしか聞こえなかった。


 立花は運転席から、不安そうな目で蒼空を見る。


 蒼空は、作り笑いしか返さない。


 それはさらに立花の不安を煽っていたが、晴真が先に行ってしまったがために、どうしようもなかった。


 最悪な事態を予想して車を降りると、晴真はたくさんのスタッフに囲まれている。


「晴真くんにこんな美人な彼女がいるなんて知らなかったよ」
「いつから付き合ってるの?」
「どこで知り合ったの?」
「どんな綺麗な人にもなびかなかったのって、こういうことだったんだね」


 蒼空の言った通り、野次馬はたくさんいた。


 これだけ騒がれると思っていなかったため、晴真は対応に困る。


「あの写真って本当なんですか? 僕、フェイクだと思ってました」


 助け舟を出したのは、蒼空だった。


 晴真が知らない蒼空が、そこにいる。


「君は?」
「朝原さんの後輩の、町田蒼空です。今日は見学に来ました」


 代表して聞いてきた声に、満面の笑みで答える。


 それが演技であるとは、誰も思っていないらしい。


「どうしてあれが嘘だと思うの?」
「僕が尊敬する朝原さんは、今は恋愛をする気はないって言ってたからです」


 晴真も初耳の情報に、晴真は蒼空を見る。