三崎知由。
腰あたりまである黒髪が風に踊らされ、はっきりとした二重の目と、薄紅色の唇が顕になる。
しかしその瞳は儚げで、見た者の目を奪っていく。
「あの子、綺麗……」
知由が道を歩くと、すれ違った女子高生が振り向いて羨ましそうに言う。
知由の隣を歩いている中矢友奈は、つまらなそうな表情を浮かべる。
「見た目しか知らないから、あんなふうに言えるのよね」
当の本人は興味なさそうだ。
「ちょっと三崎、聞いてる?」
確実に話しかけられても、それにすら答えない。
知由の耳を引っ張ると、ようやく目が合う。
「なに」
知由の無表情が、少しだけ崩れる。
「全人類に、三崎の性格の悪さを教えてやりたいって話」
「言いたいなら言えばいい。他人の声なんて、どうでもいい」
やはり知由は興味ないようで、友奈はさらにため息をつく。
「こんな見た目だけの女のどこがいいんだか」
「中矢より頭はいいけど」
明らかに見下した発言ではあるが、事実のため、友奈は言い返せない。
「三崎のそういうところ、本当キライ」
「だったら、なんで一緒にいるの」
表裏なく、バカ正直に言ってくれるところが、気に入っているから。
なんて言えなくて、友奈は適当に誤魔化す。
「ところで、今日は雪兎さんはいるの?」
友奈の浮かれた顔を見て、知由はため息をつく。
「あの役立たずの、どこがいいんだか」
腰あたりまである黒髪が風に踊らされ、はっきりとした二重の目と、薄紅色の唇が顕になる。
しかしその瞳は儚げで、見た者の目を奪っていく。
「あの子、綺麗……」
知由が道を歩くと、すれ違った女子高生が振り向いて羨ましそうに言う。
知由の隣を歩いている中矢友奈は、つまらなそうな表情を浮かべる。
「見た目しか知らないから、あんなふうに言えるのよね」
当の本人は興味なさそうだ。
「ちょっと三崎、聞いてる?」
確実に話しかけられても、それにすら答えない。
知由の耳を引っ張ると、ようやく目が合う。
「なに」
知由の無表情が、少しだけ崩れる。
「全人類に、三崎の性格の悪さを教えてやりたいって話」
「言いたいなら言えばいい。他人の声なんて、どうでもいい」
やはり知由は興味ないようで、友奈はさらにため息をつく。
「こんな見た目だけの女のどこがいいんだか」
「中矢より頭はいいけど」
明らかに見下した発言ではあるが、事実のため、友奈は言い返せない。
「三崎のそういうところ、本当キライ」
「だったら、なんで一緒にいるの」
表裏なく、バカ正直に言ってくれるところが、気に入っているから。
なんて言えなくて、友奈は適当に誤魔化す。
「ところで、今日は雪兎さんはいるの?」
友奈の浮かれた顔を見て、知由はため息をつく。
「あの役立たずの、どこがいいんだか」