あまりの綺麗さに俺は一瞬で心を奪われた
いや、実玖がいるだろ?俺
何この子にドキドキしてんだ?おれ
「相河くんじゃん、どうしたの?」
俺はその声で我に返ると、ズボンに入れていたキーホルダーを、取り出すとその子の前に差し出してみた
「これ、あんたのだろ?」
「あ、セキセイインコのキーホルダーだ」
その子はスクールカバンの持ち手にキーホルダーをつけてたらしく、スルッと落ちたんだな
「よかったー!話に夢中になってて落としたこと全然気が付かなかった」
「良かった。持ち主が……あ、えっと。名前なんだっけ?俺、物覚え悪いから」
俺、本当に名前を覚えるのが苦手だ
でもこの子は、丁寧に名前を教えてくれたことと、俺の名前を覚えててくれてたことに、心なしか嬉しかった