家の敷地内には、倉庫と続き間になった事務所があって、そこから数人、背広姿の男女が出て来る。

夕方、日も傾き辺りは夕焼け色に染まっていた。

誰だろうとふと、目をやる。

えっ⁉︎っと固まる。

……翔さん⁉︎
副社長さんに他2人は社員さんだろうか…。

女性の方が丁度、翔さんに話しかけていた。

綺麗な人……
スーツにタイトスカートを上品に合わせ、洗練された姿が遠目でもよく分かる。
背も高くて、翔さんと並んでも絵になる2人。

胸がズキンと痛む…。

翔さんが彼女の問いかけに振り返った、
瞬間、くるっと向きを変え走り出す。

今、会いたくない。

こんな畑から帰って来たばかりの、埃まみれの汚れた自分が、情けなくて見窄らしく思えて…。
翔さんには、きっと私なんかより、さっきの女性みたいな人がお似合いだ。

涙が出そうになる。
早歩きで歩きながら天を仰ぐ。
泣いたらダメと、自分に言い聞かせる。