俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する

そう言って、真剣な顔で見てくるから照れてしまう。
「果穂、この先何があっても簡単に、手離してはやれないから、それだけは覚悟しておいて。」
そう言って、翔さんは繋いでいた私の手の甲に唇を寄せ、キスをする。

私は真っ赤になって、固まるしかなくて…
ここが暗い場所でよかったと頭の片隅で、そんな事を思った。

「残念だけど、タイムリミットだ。
他の場所はまた今度来よう。お土産は買うんだろ?」

ボーっとしていて時間の事を忘れてた。
 
「あっ、本当ですね急がなきゃ。」
気付けば、里穂との約束の時間まで30分くらいしか無い。

「お土産見る時間ありますか?」

「そんな遠くないから10分くらい大丈夫。」
急いでショップに向かって、兄へのお土産を見る。
クラゲが揺れるスノーボールやペンギンのぬいぐるみ、つい可愛いと立ち止まってしまったけれど、ダメダメと自分を制する。

兄にはイルカのキーホルダー、父にはチンアナゴの温かい靴下を買う。
後、地元の友達と、ちょっと悩んで日頃からお世話になっている、純くんと松さんちと、収穫を手伝いに来てくれるバイトの人達の分のお菓子を買う。

後、翔さんへお礼も込めて、自分とお揃いのシルバーで作られたイルカのストラップを買う。

あーこれでしばらく翔さんとはお別れなんだな、と悲しい気持ちがまた出てきてため息を吐く。

こんな好きになるつもりは無かったのに、正直なところ惹かれてはいたけど、心のどこかで好きになってはいけない人だってブレーキをかけていた。

今の状況が自分でも信じられない。

翔さんは待っている間、どこかに電話をしていたけれどタイミング良く終わって、私の所に駆け寄り荷物をさっと奪うと、また手を繋いでくれる。

「この時間なら間に合うから大丈夫。」
そう言って、車でcafeまで連れて行ってくれる。