意外に早く既読がついて、彼女から丁寧な返信が来る。
それだけで嬉しくて思わず笑顔になる。

雅也からよく、俺の表情筋は死んでるって言われるが、そうでも無いだろうと思う。

まぁ、元々喜怒哀楽とは無縁の生き方をして来たから仕方がない。

そう思うと、彼女の表情はすごく豊かで、今日だけでもいろんな表情が見れた。

きっと、両親から愛されて守られ、大切に育てられてきたんだとつかの間の会話だけで分かってしまう程だ。

兄だと言う男からの鋭い視線もその一つだ。

警戒心丸出しで、まるで威嚇するドーベルマン。あの兄が彼女をずっと守ってきたから、今の彼女があるんだと敬意すら覚える。

彼女を得るには、彼を突破しなければならないのか……なかなか手強そうだな。
諦める気はさらさらないが。
メッセージで彼女にみかんを会社に送ってもらう様に頼んだ。

今日行ったら、直接頼もうと思っていたのに、会った途端、するりと仕事の事は忘れてしまっていた。

この先ビジネスとしては、出来ればみかんパフェを完成させ、彼女の家と何らかの形で繋がって行けたらと思う。

それくらい美味しいみかんだった。

ソファに寝転がり、彼女に触れた手を見つめる。触れると本当に手が痺れる感覚がするのは何故なのか…

思い出した側からまた、会いたくなる。

メッセージの最後に犬のスタンプが付き、見入ってしまう。

これはチワワか⁉︎
なんだコレ可愛すぎないか?
しかも、目がくりっとした感じが彼女に何となく似ている。

スタンプに慣れていない為か、新鮮に思えてしばらく見続ける。