「ごめんね、お兄ちゃん遅くなっちゃって…。」
cafeに戻ったら、またお客様が数人並んでいて、兄が忙しく働いていた。

「なかなか帰って来ないから心配した。…何かあったのか?」

「お腹空いたからお昼食べてきたの。トイレも行きたかったし、変わるね。」

「いいよ。このままやるから、オーダー取って。」

「うん。ありがとう。」

その後もバタバタと閉店の4時まで忙しかった。

片付けが終わって2人でホッとしていると、
「お疲れ様ー!いやぁ。今日は忙しかったね。明日もお店出すの?」
松田さんがやって来る。

「明日は収穫が午後からあるので、来れないんです。明日も出すんですか?」

「僕は明日も出店するよ。今日は相乗効果で売り上げ良かったから。これ、お土産に持って帰って。」
そう言って、お弁当を3つくれる。

「ありがとうございます。」

「果穂ちゃん、夕飯大変だろうしと思ってさっきギリギリ買ってきたんだ。僕のついでにね。」

「本当、夕飯作る事考えるだけでも疲れちゃうんで、助かります。」

「そうでしょ。明日も収穫あるならちょっとは休まないとね。」
そう言って帰って行った。

「さあ。俺達も帰ろう。」

うん、と頷き助手席に乗り込む。
「今日はお兄ちゃんありがとね。とっても助かったよ。」

「いいよ。別に兄妹だろ。
それより、昼間のあのいけ好かないイケメンは誰なんだよ……。」

「ちょっとした知り合い…。って言うか率先してお店の手伝ってくれた親切な人だよ。変な言い方しないで。」
私だってよく知らないけど、堀井さんは優しい良い人だって思いたい。

「あんな完璧人間が、中身も完璧な訳無いって、騙されるなよ。
新手の詐欺師かも知れないし。」

「どんな想像力?詐欺師だったらもっとお金持っていそうな人の所に行くはずだよ。」

「まぁ、確かにな。」

「あっ!そこ納得しちゃうの?」

「とりあえず、近付いてくる男は皆んな下心あるんだって思って、気を付けろよ。」

そんなだから、私に彼氏が出来ないのはお兄ちゃんの過保護のせいだよ…。