俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する

食事の後は、少しリビングで談笑しながらサッカーの試合をTV観戦する。

私はあまり分からないから、片付けをしながら遠くから2人を見守る。

ああ、こんな風にきっと兄弟仲良くTVを観るのも初めてなのかなぁと思うと、さっきのお父様の話が頭を掠める。

翔さんが政略結婚……
もし、本人の意思とは別に決まってしまったら。私には何も力が無い…、
胸がチクリと痛む。

言いようの無い不安が襲ってくるのを、頭を振って振り払う。

ふと思い出して、健君がお土産に持って来てくれたケーキを食べようと、声をかける。

「俺は、明日の朝食べる。」
と翔さんは言う。

「俺は食べる!!甘い物は別腹って言うでしょ。」
私と健君はモンブランと紅茶を、翔さんはコーヒーを飲む。

「美味しいです。どこのお店だろう?」
甘さ控えめで軽くて食べ易い。

「ひと口食べますか?」
翔さんに問いかけると、こくんと頷くのでスプーンで掬って渡そうとすると、あーんと口をあける。
健君の目が気になりながら、口元にスプーンを持ってくとぱくんと食べた。
ニコッっと笑うので、ドキッとする。

健君は見て見ぬふりをしてくれているのかTVをずっと観ている。