俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する

健君の話しも香水も気にしない。
せっかく兄弟が揃ったんだから楽しく過ごさなくちゃ。

「村井さんから健君はお肉料理が好きだって聞いたので、唐揚げにしてみました。豚汁は翔さんが好きだから作ってみたんですけど、お口に合うかどうか食べてみて下さい。」

「ありがとうございます。頂きます。」
嬉しそうに手を合わせ健君は箸を進める。

「果穂の料理は美味いから大丈夫だ。」
不安そうに、健君を見つめていたせいか翔さんはそう言って微笑む。

「うん。美味い!!このサクサク感最高!!」
高校生だけあって食べっぷりが凄くて驚く。

翔さんと見つめ合って笑う。

「健、もう少しゆっくり食べろよ。誰も獲らないからさ。」
翔さんは笑いながらそう言って箸を進める。

「兄さんとこうやって食卓を囲むのって初めてだよね。改まった席でしか一緒にご飯を食べた事が無いから。」

「確かにそうだな。学生の頃から出来るだけ近づかない様にしてたから。」

「だから、兄さんが普通にこうやってご飯食べてるのが、不思議で新鮮。」

「どう言う意味だ?」

「いつも怖い顔して、近付けないオーラがあったんだよ。笑ってる所もあんまり見た事なかった。」

「そう言う割には、お前は昔っから俺に絡んで来たじゃないか。本読んで欲しいとか宿題教えて欲しいとか……もっと構ってやれば良かったなって今になって思う。」

「今からだって遅く無いですよ。」
とそっと伝える。
「何か困った事があったらいつでも言って来い。」

「ありがとう。僕は兄さんが幸せならそれだけで嬉しい。兄さんから家族を奪ってしまったんだって…ずっと後ろめたかったんだ。」

「元々、家族なんて無いに等しかったんだ。
俺自身が家族を拒んでたんだからお前のせいじゃ無い。」
2人の間のわだかまりは少しとれた様で私も嬉しくなる。