俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する

玄関からガチャっと音がする。

「あっ、翔さんが帰って来ました。」
弾かれる様に立ち上がって、玄関に出迎えに行く。

「お帰りなさい。お仕事大丈夫でしたか?」

「ただいま、ごめん遅くなって。」
私はぶんぶんと首を横に振り帰って来てくれた事に安堵する。

「兄さん、お邪魔してます。果穂さんといろいろお話し出来て良かった。」

「そうか、健も待たせて悪かったな。
腹減っただろ?」
いつものように私はカバンを受け取り、翔さんは洗面所で手を洗いリビング手前で背広を脱ぐ。

受け取ってハンガーに掛ける時、
翔さんとは違う香水が香ってドキッとする。

甘い花の様な香りは女性もの……。
接客相手に女性がいたのかもしれない、余り考えない様にしなくちゃ。

気を取り直して、一度揚げてあった唐揚げを、再度揚げて温め、直ぐにダイニングテーブルに並べる。

「美味しそう。さっきから良い匂いがして気になっていたんだ。」
健君はそう言ってお皿を運ぶのを2人で手伝ってくれる。

やっぱり並ぶと、背格好がよく似ていて兄弟なんだなぁと改めて実感する。