出会ってから半年以上が過ぎた。
やっと果穂が俺に慣れてくれたせいか敬語も少しずつ取れてきた。

俺が洗面所に寄って手を洗う間も、
カバンを抱きしめ廊下で待っている様子が健気で可愛い。

「夕飯待っててくれたのか?
先に食べててくれたら良かったのに。」
テーブルに並んだ箸でそう気付く。

「せっかくの同棲1日目記念だから。
だけど、お腹に優しい物が良いかなぁと思って結局、質素なおうどんになっちゃった。」
フワッと笑う笑顔も可愛い。

「ありがとう、気を遣ってくれて。」
ネクタイを緩め背広を脱いで仕事から解放される。

「先にお風呂にしますか?」

「いや、先に果穂を抱きしめたい。」
そう言って近付き優しく抱きしめついでに唇にキスを落とす。

しかし、キスが濃厚なものになる手前でさっとかわされ
「先にご飯にしましょ。お腹空きましたね。」
と逃げられる。

恥ずかしそうな目線を投げられ抱きたい衝動に駆られる。

先に果穂を頂きたいんだが…。
うどんが伸びてはいけないと気持ちを抑え椅子に座る。