俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する

その日は至れり尽くせりで、抱き上げられてリビングに座らされる。
届いた、温かい朝食をお皿に取り分けてくれる。ミルクティーを作ってくれたり、ケーキを食べさせてくれたりと、過剰な程に接待されて私は困ってしまう。

「大丈夫ですよ?ちゃんと歩けます。」
言っても、聞いてくれず抱き上げられてリビングのソファに座らされる。

ずっとパジャマで居るのも気が引けて、立ち上がろうとしてよろめく。

「ほら、大丈夫じゃないだろ。
何処行きたいんだ?トイレか?それとも洗面所?」
そんなとこまで抱き上げて連れて行こうと思ってるの⁉︎と、びっくりして目を丸くする。

「着替えをしようと思って…。」
と、小さくなって答える。

「あっ、いいのがあった。
この前外回りで、街に出た時見つけたんだ。
果穂に似合うと思って買った。
ちょっと待ってて。」
そう言って、自分の部屋に行って大きな紙袋を持って戻って来た。

「これは?」
開けてみて、と手渡された紙袋には何着か部屋着が入っていた。

「これ、全部私用ですか⁉︎」

「もちろん。どれから着る?」
当たり前だと言うように、ふわふわの淡い白色の緩いロングスカートを1着取り出して、私に当てがう。

「じゃあ、今日はこれにしよう。」
そう言って、私のパジャマのボタンに手をかけるから、慌てて
「自分で着替えられます。」 
服を掴みゲストルームに逃げ込む。

はははっと笑い声を上げて、翔さんは朝食の後片付けに戻って行った。