頭をよしよしと撫でて、落ち着かせてくれる。
「そろそろ戻らないと不審がられるな…。」
苦笑いしながらそう言って、そっと離してくれた。
ハッと私も我に戻って慌てて髪を整える。

翔さんの前髪が走ったせいで乱れているのが気になって、そっと手を伸ばして整える。

「突然居なくなったからヤバいな…雅也になんで言われるか。」

「怒られちゃいますか?」
心配になって訊ねる。
「大丈夫、社長は俺だ。」
そう言って、笑いながら

「果穂はしばらく落ち着いてから戻って。
その顔、真っ赤で可愛すぎて誰にも見せられ無い。
あいつら連れて一度帰るから、
後からまた、個人的に挨拶に来るよ。」

翔さんは私の頬をひと撫でして皆が待つ場所に戻って行く。

私は火照った頬を押さえてしばらくその場で呆然と立ちすくむ。

翔は皆の元に戻り何食わぬ顔をして会話に入る。