そんな欲求が一気に湧き上がってきて、制御がきかなくなってしまうのだ。


「猫ちゃん待って！」


白猫めがけて一気に駆け出す。


白猫は私の声に驚いてパッと身を翻した。


軽快に駆け出して一気に道路の反対側へと渡ってしまう。


「あ、ちょっとまって！」


今なら車も来ていない。


追いかけることができる！


咄嗟に総判断して車道へと飛び出した、その瞬間だった。


反対車線から走ってきた大型トラックが私の目の前を走り抜けていった。


突風に前髪が揺れて生暖かい排気ガスが周囲に充満する。


呆然と立ち尽くしてしまった私の右手を、誰かがきつく掴んでいた。


「ほんっとにお前は……」


少し苛立った声に振り返ると、そこには聖也が立っていた。


私の右手をきつく握り締めて引き寄せる。


「猫はいいから。ちゃんと左右を確認しろ」


「……ごめん」


歩道に戻った私は素直に謝り、聖也とかとぉ並べて学校へと向かったのだった。