8時過ぎに通るの家を出ると満天の星空だった。


「うわぁ、キレイ!」


思わず両手を空へ向けて掲げてつぶやく。


この時間帯はたいてい家の中でテレビを見ているから、この星空をみたことがなかった。


「うん……」


徹は隣で歩きながらすぐに視線を道路へと落とした。


さっきまでの元気がないように見えて、私は両手を下ろす。


「どうかしたの?」


「……僕のお父さんが家を出たのも、こんなキレイな星空の日だったんだ」


その言葉に私は一瞬喉の奥が詰まったような感覚になり、何も言えなかった。


けえどこういうときは黙っていればいいのだと考え直す。


無理に言葉をひねり出したって、それが本心じゃないなら意味がない。


そんな言葉はきっと誰にも届かないから。


「僕は子供で早い時間になむくなって、それこそ6時くらいには眠くなって、寝てたんだ」


きっと今日と同じようにご飯を食べて、すぐにうつらうつらしたんだろう。