全然知らない場所じゃなかったみたいだ。


「ごめん、私寝ちゃったんだね」


そう言って窓をの外を見るとすっかり暗くなってしまっている。


時計の針は午後8時を指していて、2時間も眠ってしまったのだとわかった。


「もう帰らないと」


門限は9時だから十分間に合うけれど、これ以上男の子しかいない家にいるわけにはいかない。


すぐに帰り支度を始めていると、徹が後ろから「ごめん、僕が寝たせいだよね?」と、声をかけてきた。


その声がやけに悲しげだったので振り向くと、徹は今にも泣いてしまいそうな顔をしている。


「門限まではまだ時間があるから大丈夫だよ」


「そっか。じゃあ、家まで送っていくから」


少しホッとしたように笑顔を見せる。


それでも眠ってしまったせいで夜になったことを気にかけているみたいだ。


そんなに気にすることじゃないのに。


私は首をかしげ、帰り支度を勧めたのだった。