氷王子と呼ばれる冷たい顔ではなくて、子猫と遊んでいるときの楽しそうな顔。


「今度はなんだか楽しそうだね?」


佑美にそう言われて慌てて頬を引き締めた。


「べ、別に、そんなことないよ?」


慌てたせいで早口になってしまい、余計に怪しまれてしまった。


佑美はまじまじと私の顔を覗き込んで「そんなにコロコロ表情が変わるってことは、恋かな?」と聞いてくる。


恋!?


その一言に心臓がドクンッと大きくはねた。


顔がカッと熱くなって体温が上昇していくのをとめることができない。


咄嗟に佑美から顔を反らせたけれど、もうバレバレだ。


「うそ、本当に恋!?」


佑美が嬉しそうな声を上げて手を叩く。


「そ、そんなんじゃないってば!」


否定してみても佑美は全然信じてくれない。


ニヤニヤとした笑みをこちらへむけて「相手は誰?」なんて聞いてくる。


その質問で浮かんでくるのはやっぱり西原くんの顔で……。


途端にスッと体の熱が冷めていくのを感じた。


私、本当に西原くんに恋をしてるの?