氷王子が子猫にミルクをあげるなんて予想外な場面を目撃してしまった翌日、学校へ行くと佑美が先に来ていた。


「佑美! もう体は大丈夫なの?」


「うん。もうすっかりよくなったよ」


今日の佑美は血色もいいし、本当に大丈夫そうだ。


ホッとしてつい笑顔になる。


やっぱり佑美がいないと学校がつまらなく感じてしまう。


佑美がいることで元気になった私は昨日の放課後見た光景をしばらくの間忘れてしまっていた。


けれど氷王子が登校してきて一瞬教室内が静かになった時、嫌でも思い出してしまう。


氷王子は今学校で悪魔王子と陰口を叩かれ、だけどそんな彼は放課後こっそり子猫にミルクをあげている。


学校での姿と、学校外での姿に差がありすぎて一体どっちが本当の彼なのか、わからない。


さすがに今日は佑美がいるからか悪魔なんて言葉が聞こえてくることはないけれど、田中さんたちのグループからクスクスと笑い声が聞こえ漏れてくる。


それを敏感に感じ取った佑美が怪訝そうな顔をした。